新型インフルエンザとワクチン

韓国では5月15日に世界初となる
ワクチンの元となるウイルス株の開発に成功しました。
しかし
「秋くらいには市販が可能とみられる」
「4か月以内に大量生産」
と述べており、
今すぐワクチンが出回るということではないようです。
もちろん量産してもまずは韓国内で使うと考えられます。
では日本は・・・?
日本では、ウイルス株の作成が遅れていて
ワクチンメーカーへのウイルス株の供給は6月となる見込み。
ウイルス株を元にして
メーカーがワクチンを量産可能になるのは
7月中旬以降になると言われています。
また、
新型のウイルスのため免疫が皆無なので、
ワクチン接種は1回だけではなく
2回接種することが必要だそうです。
ワクチンの生産について
厚生労働省の舛添要一大臣は
「季節性インフルエンザのワクチン製造を一時中止してでも
 新型インフルエンザのワクチンを作るようにしたい」
としています。
季節性インフルエンザのワクチンですが
昨年は2500万本を確保していました。
しかし
新型インフルエンザのワクチンを優先して製造した場合
十分な量が確保できなくなる可能性があります。
これについては、
ワクチンを作成するウイルスタイプを絞り込む、
などで量を確保する方法が検討されています。
ちなみに、
季節性インフルエンザのワクチンは、
その年の感染防止にしか効果が無いそうです。
一方、いちどインフルエンザに感染した人は
他のタイプのインフルエンザにも感染しにくくなるそうです。
つまり、
一度かかってしまえば予防接種なしでも高い抵抗力が付き、
予防接種だと感染を防ぐには毎年ワクチンが必要となる。
ということです。
なんでも、現在のワクチンでは血液中の抗体に
長期間ウイルスを記憶させることができないのだとか。
 ・・・ん?ということは、
 新型インフルエンザAのワクチンができても
 接種してしばらくしたら感染の可能性があるということ??
 なんでしょうかねぇ。。。
ところで、
抗体による免疫は体内(血液中)と、
体外(粘液)の二つがあります。
粘液の抗体は侵入前にウイルスを攻撃し、
血液中の抗体は体内に侵入したウイルスを攻撃します。
ワクチンによる血液中の抗体は
上記のとおり長期間は持続しません。
しかし鼻などの粘液の抗体は長期間維持される
(させる技術が開発された)そうで、
鼻用の霧吹タイプのワクチンが開発されました。
粘液に抗体を作り、ウイルスの体内への侵入を防ぎます。
このタイプのワクチンは
アメリカでは認可されていますが、
日本では2010年から使用となるそうです。
残念なのは、子供に効果が高いが、
成人にはあまり効果がないとか。。。
でも大人にも吉報。
さらに最新の研究では、
注射タイプのワクチンでも
一度接種すれば長期間効果が持続するという、
新しいタイプのワクチンが開発中です。
現在のワクチンが毎年接種しなければならないのは
 1.免疫が長期間持続しないから
 2.ウイルスが毎年変異するから
なのですが、
この二点をクリアした、新しいワクチンが
厚生労働省の研究班で試作されています。
ウイルスの変異というのは
『ウイルス表面のトゲが変わる』
ということなのですが、
新開発のワクチンは
ウイルスの表面のトゲではなく、
内部のたんぱく質を元にしてつくられています。
そして、この新タイプのワクチンでできた抗体は
長期間免疫細胞に記憶されるのだそうです。
したがって、
表面のトゲが変わっても効果があり、
長期間その効果が持続するのです。
実際にH5N1型(鳥)、ソ連型、香港型から
共通のたんぱく質を取り出してワクチンが試作され、
動物実験の段階で効果が確かめられました。
現在人間への実用化へ向けて研究が進められているそうです。

新型インフルエンザ検疫・停留措置すり抜け問題

大阪府立高校の教員と生徒3人が
機内検疫で新型インフルエンザに感染していることが発覚し
3人が隔離、濃厚接触者49人が検疫法に基づき停留措置となった。
停留措置の対象者はホテルで缶詰め状態となっているが
新たに一人の感染者が確認されるなど、その成果は出ている。
しかし、最初に感染が確認された3人のうち、
生徒1人は機内の検疫で異常は見つからず、
飛行機から降りたところで体調不良を訴えたため
詳しい検査をしたところ感染が確認された。
このときすでにこの生徒の周りにいた搭乗客は
機外に出ていたため停留措置を取ることができなかった。
本来は停留措置となるはずで入国した人の
居住都道府県とその人数は
京都府  4人
神奈川県 3人
埼玉県  2人
青森県  1人
茨城県  1人
東京都  1人
の合計12人となっている。
厚生労働省は濃厚接触者であることの連絡と
通常よりも厳しい健康チェックの要請を
各自治体にしたとしているが、
連絡は受けていない とする自治体があるなど
情報の伝達が正確にできていない様子。
このうち京都市が独自に調査し4人を特定、
説得の上宿泊施設で停留措置を取っている。
また青森県も外出自粛を要請、
茨城県は自宅待機を要請した。
停留措置の対象となった49人から
1人の感染者が確認されているため、
検疫をすり抜けた12人の中にも
感染者がでる可能性が十分あるので注意が必要なようだ。

乳児・三鷹女性、新型陰性

A型インフルエンザに陽性反応を示し
新型の感染を疑われていた横田基地の米国籍乳児ですが、
国立感染症研究所による検査の結果、
Aソ連型であったことがわかりました。
また発熱などを訴えてA型の陽性反応を示した
米カリフォルニア州から28日に帰国の
東京都三鷹市の40代女性は、
横浜市衛生研究所の検査の結果
A香港型であったことがわかりました。
現在日本国内に感染が確認された人、
および感染の疑いのある人はいません。
~インフルエンザNEWSトピックス~
・カナダで『人→豚』の感染が確認されたそうです。
・空港で検疫官が不足しているそうです。
 タイからの便に搭乗していた160人が
 サーモグラフィーチェックなしで入国してしまいました。
今日ふと立ち寄った店で流れていたラジオで
政府関係者の舛添大臣への不満の声が伝えられていました。
検閲官の不足や最前線関係者の不満…
非常に厳重な体制を敷いていますが
その下で働く人達に無理がいくなど、
運用面で問題が出てきている様です。
理論上完璧な体制でも
それが運用できなければ意味がありません。
水際対策はウイルスが侵入しない限り続きます。
いかに長期にわたってこの体制を維持できるかが
今後の課題であると思います。
また、危機管理計画を練る段階で
長期化した場合どう継続して維持するかを
考えておく必要があるのではないでしょうか。
・・・この前、
ギザ十の記事を書きましたが、
またギザ十が手に入りました。
昭和30年のものです。
これで京都に来て6枚目、
そして初の昭和30年代です。

名古屋のインフルエンザ男性は香港型

アメリカから一時帰国していたトヨタの男性社員が
名古屋市の医療機関で診察を受け、
簡易検査でA型インフルエンザの陽性反応がでました。
名古屋市衛生研究所がPCR法(遺伝子検査)で検査し、
結果H3型の香港型であり、
H1型の新型インフルエンザではないことが確認されました。
また横田基地のアメリカ人乳児の検査は
当初アメリカへ検体を送っての検査が考えられていましたが
国立感染症研究所で検査が行われることになったようです。
※検査開始から結果が出るまでにかかる時間は
 PCR法の検査は6時間、
 確定診断の検査は1~2日です。
現在、国内の
新型インフルエンザ感染確認は0件、
疑いが有り検査中が1件、
検査で新型でないことが確認されたのは3件です。
・なぜ検査に時間がかかるのか
現在日本には新型インフルエンザのDNAがありません。
そのため最終的に断定するには確定診断(1~2日)が必要です。
10日には米から国内各製薬会社にウイルス株が提供される予定で
ウイルスのDNAが手に入ればPRC法でも
新型インフルエンザの判定ができるようになるそうです。
またワクチンの製造も可能になります。
~最新情報~
香港を訪問中のメキシコ人男性が
新型インフルエンザに感染していることが確認されました。
アジアで初の新型インフルエンザ感染者です。

横田基地、名古屋でA型インフルエンザ

前回の記事で、
ロサンジェルスから成田空港に到着した女性より
インフルエンザウイルスA型の陽性反応が出たことを取り上げました。
その後横浜市の男子高校生も国内でA型を発症していたことが報じられ、
さらに米軍横田基地へ到着した乳児からA型陽性、
名古屋の発生国へ渡航していた人からもA型陽性反応がでました。
今回はこれら四件についての情報と、
インフルエンザウイルスの検査方法について取り上げます。
成田空港でA型インフルエンザ陽性反応が出た女性は
A香港型であることが分かりました。
また未明に記者会見で発表された横浜の男子高校生も、
Aソ連型であることが分かりました。
しかし、
アメリカ発・アメリカ軍横田基地着のチャーター機に乗っていた乳児は
A型の陽性反応を見せ現在詳細検査中です。
乳児と母親、周囲に搭乗していた人13名は
感染していないことが判明するまで隔離されることになっています。
検体はアメリカ本国へ送って検査する予定で、
その場合は検査結果が出るまで3~4日かかります。
このため日本側は、
日本で検査を行う用意があるとアメリカ側に伝えたようです。
そして名古屋のA型感染者については
このあと5月1日午後11時30分から
記者会見が行われる予定です。
すでに詳細検査に着手している模様です。
というわけで現段階で、
検査によって新型インフルエンザであると確定された人物は
日本国内には存在しません。
また、
新型インフルエンザウイルスに感染している可能性があり
検査結果を待っている人物は
横田基地の乳児と、名古屋の方の2名です。
(分かっているのはA型インフルエンザであることのみ)
さて、
『感染の疑い』『判定不能』『香港型でした』『ソ連型でした』…
いろいろ情報が発表され身構えていると
なんだ大丈夫だったのか。。。と思うのですが
いったいどの情報をどのように受け取ればいいのでしょうか。
数段階に分けられている
インフルエンザウイルスの検査について
詳しいことがわかったので紹介します。
※ウイルスの型については前回の記事をご覧ください。
~新型インフルエンザウイルス検査方法~
第一段階:簡易検査
 A型インフルエンザかB型インフルエンザを調べます。
 新型インフルエンザや香港型、ソ連型など、
 多くの流行性のインフルエンザはA型に属します。
 簡易検査でA型であるという結果が出ると、
 『新型インフルエンザ感染の疑いあり』とされ
 つぎの検査段階へ進められます。
第二段階:PCR法(遺伝子検査)
 インフルエンザウイルスの遺伝子を解析します。
 ウイルスはHとNのたんぱく質で構成されています。
 Hには13種類、Nには9種類ありますが、
 H3N2の組み合わせが香港型、
 H1N1の組み合わせが
 ソ連型、または新型インフルエンザです。
 成田空港でA型陽性が出た女性はこの段階で
 H3N2型(香港型)であることが判明し、
 新型インフルエンザではないとされました。
 しかし横浜の高校生はここで『判定不能』と出たため
 同時に検査を開始していた確定検査の結果を待つことになりました。
第三段階:確定診断
 ウイルスがH1N1であった場合、
 ソ連型なのか新型なのか、詳細な検査を行います。
 横浜の高校生はここでH1のウイルスは人のもので
 豚のものではない、つまりソ連型であるということが分かりました。

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