アメリカで長期のデフレが始まるのではないかという見方がでている。
サブプライムローンに端を発し、
リーマンブラザーズの破綻で火のついた金融危機。
アメリカ政府は巨額の財政出動で景気対策を行い、
歴史上初の0パーセント台の金利政策も打ち出した。
その結果、2009年には回復の兆しが見られるようになった。
しかし今年に入り、景気対策が期限を迎え始めると
未だ回復していない経済の実態が浮き彫りになってきたのだ。
かつて、アメリカが回復基調に乗ったと言われていた頃、
日銀の元総裁白川氏がそれは『偽りの夜明け』だと言っていたそうだ。
バブル崩壊後、失われた10年を経験した日本。
その10年の間にも何度か『回復』の兆しのようなものが見えたことがあったのだが、
それを『偽りの夜明け』とよび、アメリカもいまそれを経験していると言ったのだ。
実際、アメリカはまだ本当の回復基調に乗ったわけではないようである。
どうすればこの事態から脱却できるのか――。
バブル後の企業は、
バブル状況下の消費力に合わせた債務・設備・雇用を抱えている。
しかしこれは、バブル崩壊後の世界では『供給過剰』な体制である。
政府の財政出動によって一時的に需要をこのレベルまで押し上げることは出来ても、
それによって回った経済は財政出動が終わればまた元の供給過剰になってしまう。
『偽りの夜明け』にしかならないのだ。
これを解消するために必要なのは供給過剰となった産業構造の調整だ。
日本はこれが出来てやっと、10年の不況から脱却することが出来た。
アメリカは日本のゼロ金利政策で世界中に余った金をサブプライムローンで吸い上げた。
住宅価格がどんどん上がり、無限増殖する価値は絶大な消費力を生んだ。
今、アメリカの産業はその時の消費力に合わせた債務・設備・雇用になっている。
これを解消しなければアメリカ経済は回復しない。
そしてそれはそれぞれの企業が取り組んでいかなければならない課題であり、
政府の政策によっては解決しにくい問題なのだ。
かつての日本の量的緩和政策も、
金融危機対策には役に立っても景気回復には役に立たなかったという。
役に立たなかったどころか、
サブプライムローンを生じさせるための金余り現象は、
他ならぬ日本のゼロ金利政策が起こしたのだ。
アメリカが回復するためには
政府による政策ではなく民間による構造調整が必要なのだ。
(参考:米国で「失われた10年」が始まる)
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