『重力波』観測へ、重力波望遠鏡建設。

 

アインシュタインは一般相対性理論の中で
『重力波』の存在を予測した。

重力は時間と空間のゆがみを生むと考えられている。
星の周りでは、時間が進むのが遅くなるのだ。

そして、星が回転運動をすると、
この時空の歪みがさざ波状に発生する。
それが重力波だ。

とくに、宇宙が誕生した時には
巨大なエネルギーによる重力波が放出されているはずである。

この、宇宙誕生時の重力波を捉えることが出来れば、
今まで観測することの出来なかった宇宙の初期の時代、
『暗黒時代』の宇宙の様子を探ることが出来る。

原始宇宙には素粒子が溢れており、
当時の光はその素粒子に邪魔されて地球まで届かない。

そのため現在の天文学では、
宇宙誕生から30万年は様子を見ることが出来ない、
『暗黒時代』なのだ。

それに対して重力波は、あらゆる物質を素通りするため、
当時の様子を知る手がかりになる。

いつ宇宙は誕生したのか?
正確な時期の特定が可能となる可能性もある。

宇宙は何次元なのか?
もし、重力波が相対性理論で予言されたよりも弱ければ、
あるはずの重力波が逃げる場所がある、
つまり空間は三次元ではなくて、
余剰次元が存在する、という証拠になる。

このような、革命的発見の可能性を秘めた重力波だが、
直接検出することに成功した例はまだ無い。

検出に成功すればノーベル賞の受賞は確実視されている。

そして、そんな重力波を観測する試みが、
あのニュートリノ観測で知られる神岡鉱山の地下で、
2014年から開始される。

地球から6億光年の範囲で
2つの中性子星が互いに高速回転する時に出す重力波の観測を狙う。

3キロにもなる真空パイプをL字型に置き、
角部分から2方向に同時にレーザー光を照射。
それぞれの方向から鏡で反射して戻るまでの時間を計測する。

重力波があれば、空間がゆがんで片方の距離が長くなり
レーザーが帰ってくるまでの時間に誤差が生じる。

その差を検出することで重力波を検出する。

その精度は、
1000000000000000000分の1メートルを検出
(百京分の一:100億分の1のさらに1億分の1メートル)
――地球と太陽の距離が
『原子一個分だけ遠くなった』
ことも検出できる程だという。

完成すれば世界最高感度となるが、
2016年の相対性理論から100年目を節目に
欧米も既存施設の感度を日本同等まで引き上げる計画だという。

いち早い重力波の直接観測にむけて
関係者は意気込んでいる。

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